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2004年5月号 春の陽気と病気 ― 高血圧・鬱・不眠など

春本番。自然界の陽気が強まるにつれて、体内の陽気(中医学でいう陽気)も急増します。陽気は万物の成長に欠かせないエネルギーですが、日ごろ、体内の陽気が過剰気味の人にとっては病気を誘発する原因となります。例えば、高血圧体質の人が春の陽気の影響を受けると体内の陽気が過剰となり、血圧の上昇、頭痛、目眩、耳鳴り、顔面紅潮などが顕著になります。高血圧以外でも、陽気が誘発する病気(症状)は、頭痛、目眩、耳鳴り、不眠、鬱、情緒不安定、等々多いのです。こうした陽気に誘因される病気・症状には、鍼灸・漢方治療が得意とする分野で、とても治療効果が大きいのです。

中医学では、西洋医学のように対処治療で症状を抑え込むのではなく、体内の陽気・陰血のバランスを整える治療(鍼灸・漢方薬)をし、身体全体を根元的に改善させるからです。高血圧であれば、血圧を下げるだけでなく、他の諸症状も同時に治癒され、改善されていきます。

「医食同源」という中国医学のベースともいえる古い言葉どおり、春の陽気に対して中国では、予防医学的に菊の花のお茶を(春~夏)大変よく飲みます。でも、すでに症状が出てしまってる場合には鍼灸・漢方薬などで治療します。

中国では春の病い(不養生)は、夏風邪の原因になるとも言われています。中医学は、予防医学としての効力がありますから鍼灸や漢方薬などで体調を整え、暑い夏に備えるのも良いでしょう。

投稿者:tcm-editor

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