no image

2004年7月号 坐骨神経痛・腰痛

坐骨神経痛は、腰から足先にまでわたる広い範囲に起こります。坐骨神経は、体で最も長く、場所によっては指ほどの太さの末梢神経です。だから周囲の組織(椎間板、骨、筋肉など)に異常があると圧迫を受けやすく、神経痛の中で最も発症率が高いものです。

西洋医学では、酷いヘルニアに対する手術以外は、薬物療法や理学療法ですが、根本的に痛みを取り去ることは難しく、再発を繰り返す人が多いのです。

神経痛には,急性と慢性とがあります。急性は、環境因子の影響で起こりますが、慢性の場合は、病気に対する抵抗力が不足するなど、体質素因がからみます。経過も長引き、治療も難しくなります。

中医学では坐骨神経痛を「痺証」の一つと考えます。痺とは、「つまって通じない」という意味で、風邪(ふうじゃ)、寒邪、湿邪などの環境因子が身体の活動 に必要な基本物質である「気」や「血」の流れを妨げた状態を指します。つまって通じない部分が、「痛み」となって現れるのです。

鍼灸治療では、邪によって詰まっている状態を、鍼の刺激によって改善させ、痛みを取り(鎮痛)除く。さらに神経に炎症のある場合は、それを鎮める(消炎) ための鍼。神経が走行する部位の椎間板、骨や筋肉が圧迫されている場合には、その緊張をゆるめる(緊張緩和)ための鍼。この3つの角度から鍼をします。鍼 治療は、経穴(ツボ)に鍼刺激を与えることで患者さん自身の中にある自然治癒力を引き出していく治療法なのです。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る