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2005年5月号 頚肩腕痛・頸椎症の鍼治療

頚肩腕痛とは、頚椎周辺の異常(肩こり、首から肩・腕・手指に痛みや痺れ、脱力感、冷えなど)が原因となり起こる症状で、激しい痛みのために眠れないものから、単に指のしびれを感じるだけと程度は様々です。

西洋医学では、胸郭出口症候群、頚部神経根障害などと診断されます。中医学では、このような痛み症状を「痺証」の一つと診ます。痺とは、「つまって通じない」という意味で、「気」や「血」の流れが妨げられた状態を指します。つまり、詰まって通じない部分が、「痛み」となって現れるということです。したがって、治療は「気」や「血」の流れを改善させるツボ(経穴)を選穴し、さらに「鍼通電療法」を併用し、腕神経叢に向けて鍼を刺入して、神経が分布している首・肩・腕・手指に微弱な電気刺激を送ります。これにより手全体がビクビク動き、首周りの筋肉や神経根の圧迫を緩ませ、血流も増加し、頚部神経根や腕神経叢の炎症、浮腫、首から肩・腕・手指の痛みやしびれ等が軽減していくのです。

治療法を説明すると、少し怖いように感じられるかもしれませんが、非常に細い鍼を使いますので、麻酔科での神経ブロックの注射のように、神経を傷付ける危険も、副作用もなく安全で体に優しい治療法なのです。

この疾患の初期では、首の痛み、こりがあっても、腕にかけての痛みや痺れを伴わず、普通の肩こりと考えてしまいがちです。早期に気づいて治療することで「未病」を防ぐことができます。特に反復的に寝違いを起こしたりする場合は要 注意です。

投稿者:tcm-editor

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