no image

2005年7月号 ED(勃起不全)とストレス

EDとはErectile Dysfunction(勃起能力の低下)の略称です。以前はインポテンスという言葉が使われていましたが、最近ではEDという表現が定着してきています。EDには、勃起能力は正常にあるにもかかわらず精神的要因などにより充分な勃起が得られない「機能的ED」と、勃起に関与する神経、血管、あるいは陰茎そのものの障害により充分な勃起が得られない「器質的ED」とがあります。日本では40歳~70歳の男性の半数以上が何らかの原因でEDとなっており、このうち大多数が「機能的ED」であると考えられ多くの方が密かに悩んでおられるようです。現代医学では主に心理療法によって治療していますが、その効果は理想的なものとはいえません。

「EDは、ハリで治る」と週刊誌が報じていましたがハリは心の病に大変良く効きます。ストレスによる鬱症状、ヤル気がでない、食欲不振、精力減退、不眠症など、東洋医学では気の流れが弱くなって起こる精神状態だと診ます。気の流れが強まるように手首の経穴(ツボ)にハリをすると急に気分がスッキリして患者さんが驚かれることがあります。

「機能的ED」は、肉体的疲労や精神的疲労(ストレス)が原因。中医学では、腎陽・腎気・腎精の衰えと診て、鍼灸治療をする最も得意な分野なのです。

治療では、ストレスを軽減させ、さらに中医学的な根本治療となる腎を強化していくだけでなく、他臓器への治療も重要となります。特に肝は精神的疲労(ストレス)との関係が深い臓器。中医学の古典には「肝の経は陰器をつかさどる」「肝は筋をつかさどる」と記載されており、EDは陰器の疾患であり、また陰茎は「筋」の属することから、EDの治療には腎に加えて肝を強化することで高い治療効果が得られるのです。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る