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2005年1月号 慢性膀胱炎と鍼灸治療

膀胱炎は、多くは尿道から細菌が侵入して炎症を起こします。アレルギーによって起こるものや無菌性もあります。健康な膀胱粘膜は抵抗力もあり、そう簡単に 炎症を起こさず、排尿とともに細菌を体外へ排出してしまいますが、慢性疲労、便秘や下痢、月経異常、子宮筋腫、子宮癌などの手術後の骨盤うっ血(お血)な どがあると、細菌の繁殖に好都合となり、過敏症や炎症を起こしやすくなります。症状としては、排尿が近い、排尿時下腹部痛、酷いと夜も安眠できなくなる、 尿がにごる(膿尿)が主な症状です。

この疾患は、急性のものは一時的に強い症状があっても早期に抗生物質を服用すれば、良好な経過をとり、数日後あるいは2週間ぐらいで治癒しまいます。しかし、慢性的に症状が繰り返され、排尿異常感を伴う場合などは、鍼灸治療が有効です。来院される患者さんのほとんどは、反復的に炎症が起こる慢性(習慣性)膀胱炎の方です。抗生物質を服用するだけの治療法に不安になり中国医学に助けを求めて来られているのです。

中医学には、「冬令進補」という養生の考え方があり、慢性疾患などで弱った身体を冬の間にエネルギーを蓄え、体質改善して、新しい年、春に備えるという 考え方です。膀胱炎は冷えにも影響を受ける場合が多く、中国の病院の針灸科ではこの時期、膀胱炎の患者さんが多くなります。
治療によく使うツボは下腹部の中極(ちゅうきょく)、膝関節内側の曲泉(きょくせん)、腰仙部の膀胱兪(ぼうこうゆ)です。

 

投稿者:tcm-editor

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