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2006年10月号 冷房病と鍼灸治療

「冷房病とは広い意味での夏バテ」

長時間、冷房の効いた部屋に居るとか、温度差の大きい屋外と室内との出入りが多いと、一種の自律神経失調症が起こり、頭痛や肩こり、めまい、腹痛や生理不順などを引き起こします。

人間の体温は、脳にある温度受容体の働きで、交感神経と副交感神経のバランスを保つことで調節しているので、冷房の効いた所ばかりにいると、体温の熱を放出しないように交感神経が過剰に働いて、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。

冷房病は、最初は胃腸の弱い人がなりやすく、夏真っ盛りの8月に多く発症しますが、夏が過ぎた、10月、11月ごろに症状が現れる場合もあります

冷房病といっても西洋医学の正式な病名ではなく、検査しても特に異常がないと、「自律神経失調症」と言われることが多いようです。自律神経失調症も、ハッキリとした定義のない病気で、具体的な治療法はないのです。

中国医学では、気虚(元気のない体の状態)の治療を根本に行いながら、陰虚(身体の潤いが無くなる)、血(血液がドロドロ)、水毒(体がむくむ)、などを治療することで多くの不定愁訴を改善し、自律神経の調節をすることができます。

鍼灸治療によって、副交感神経の機能を高め、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進して症状を改善します。このような治療こそ、「未病を防ぐ」という中医学の考え方で、重大な病気に発展する前に、的確に治療し、病気の芽を摘むことができるのです。

投稿者:tcm-editor

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