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2006年7月号 うつ病と鍼灸治療

うつ病は、よく見られる精神障害です。「何か病気かも?」と思って受診した人の約10%が、実は、うつ病と診断されています。うつ病が他の病気と違うのは、症状が心と体の両方にあらわれることです。

原因は、遺伝性、薬の副作用、つらい出来事(特に喪失感)など、様々ですが、まだハッキリとわかっていません。ときには、特に大きなストレスがなくても発症したり、悪化したりすることがあります。現代医学の治療では、抗うつ薬など、治療薬の副作用も深刻です。

中医学の古代医学書に、臓燥、鬱証、厥症などと記載されており、鍼灸の治療効果が明らかにされています。今日の鍼灸治療では、1970年代に中国で開発されたうつ病の特殊鍼法を用い、頭部の経穴(ツボ)に刺鍼し、低周波通電で刺激することにより、症状を軽減させることができます。

近年、中国・北京大学とアメリカ・ハーバード大学の共同研究も行われ、その効果は証明されています。さらに、うつ病により起こる目眩、発汗、不眠、頭痛などの不定愁訴は、WHOの鍼灸治療の適応症となっています。

病院で処方された薬を長期間にわたり飲み続けている方も、西洋医学の療法と鍼灸治療と併用することで相乗効果が期待できます。

投稿者:tcm-editor

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