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2006年8月号 中国針灸と脳卒中・脳梗塞

先日、新聞に、「脳卒中は夏場が危険!発汗で血液が濃縮し、詰まりやすく“脳梗塞”を引き起こしやすい」という記事が載っていました。多くの人は、脳卒中は冬に発症するというイメージを持たれるようですが、脳梗塞は夏場が最も危険なのです。脳卒中のうち3分の2は、夏に発症しています。

中国医学では脳卒中を「撃仆偏枯(げきふヘんこ)」と呼び、脳卒中になることを「中風(ちゅうふう)」と呼びます。(「撃仆」とは突然の卒倒、「偏枯」は半身不随のことです)

約二千年前の中国の「黄帝内経」という古典医学書の中には、中風や偏枯に対する非常に高度な針灸の治療法が記載されています。

現在、中国の病院では脳卒中に対する針灸治療は、針灸科で最も多い疾患の一つです。初期のリハビリの段階から針灸治療を積極的に行います。

天津中医大学の石学敏教授の研究開発した針灸療法の醒脳開竅法は、現代中国では最も有名な脳卒中の針灸治療法の一つであり、今や「醒脳開竅法」という針灸治療法は理論、臨床ともに中国針灸界の脳卒中治療の根本になっています。

針治療は筋肉のこりをほぐす強い作用や、血液や体液の循環を良くする効果を持つことなど、科学的に証明されています。

最近では「醒脳開竅法」による針治療以外に、針に低周波電流を通した時に起こる筋肉の運動を利用して麻痺筋の力を強める治療も行われています。特に脳卒中による後遺症を軽くするためには、発症後の早い段階から針灸治療することが高い治効力を持つという研究報告も出されています。このように脳卒中の後遺症を防ぐ、或いは軽くするためにも針治療は、治効性が高く、もっと多くの方に知ってほしいものです。

投稿者:tcm-editor

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