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2008年6月号 統合医療

統合医療(Integrative Medicine)とは、患者にとって最良の医療をめざして、今日の医療の中心となっている西洋医学に、東洋医学をも含めた、さまざまな相補・代替医療(Complementary and Alternative Medicine=略してCAM)のシステムや療法を積極的に取り入れて、治療とケアをしていこうという医療です。

統合医療「鍼灸治療・漢方薬治療は、中国から日本へ伝わって来た」ということを知らない人は少ないと思います。東洋医学(中国医学)が日本に伝わったのは、仏教が伝わった時期とほぼ同時期の奈良時代です。その後、日本の伝統医学としてさらに発展しましたが、西洋医学が伝わってきてからの日本は西洋医学中心の医療に変わってしまいました。日本は伝統医学と西洋医学を共存共栄させる選択をしませんでしたが、中国は西洋医学が伝わってきてからも、伝統医学である中国医学と西洋医学を共存共栄させる選択をし、今日の中国医学を発展させてきました。

現在の中国では、病院で「鍼灸科」や「中医内科(漢方内科)」を受診して治療し、必要があれば入院もできます。日本の病院の中に「整形外科」「内科」「呼吸器科」があるのと同じように「鍼灸科」「中医内科(漢方内科)」などの東洋医学の科もあるということです。西洋医学が有効な疾患に対しては、西洋医学治療を行い、東洋医学が有効な疾患に対しては鍼灸治療・漢方薬治療などの東洋医学治療を行います。二つの医学で互いの不足を補い、患者さんにとって最良の治療法を選択できる非常に理想的な状況です。近年、欧米諸国では、西洋医学と東洋医学との統合の必要性が高まり、多くの医療の現場で西洋医学のみの治療に頼らない統合医療が実践され始めています。日本も歴史からみれば、中国のように統合医療の先進国になり得たのですが、西洋文化偏重の中で、東洋医学をを軽視してしまったのです。現在、日本の統合医療の実践はまだまだですが、これからは統合医療こそが患者にとって必要な当たり前の治療となるでしょう。

投稿者:tcm-editor

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