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2009年5月号 頻尿・多尿と鍼灸治療

頻尿とは、身体が急激に冷えた場合や水分を過剰に摂取した場合を除き、一日の排尿回数が十回を超える場合をいう。多尿とは一日の排尿総量が多くなる症状で、3リットル以上ある場合をいう。健康な人の排尿回数は一日5~7回が平均。

頻尿・多尿と鍼灸治療頻尿は、尿量が多いために排尿回数が増える場合と、総尿量は正常なのに1回の排尿量が減少し、排尿回数が増加する場合とに分かれる。多尿による頻尿は、尿崩症、糖尿病、腎機能障害などが原因で起こる。

総尿量が正常であるにもかかわらず起こる頻尿は、膀胱容量の減少(進行した膀胱癌、神経因性膀胱)、膀胱粘膜の刺激症状(膀胱炎、膀胱内の尿路結石)、残尿の増加(前立腺肥大、尿道狭窄)、及び心因性などが原因として挙げられる。

こうした特定の病気が認められない場合は、自律神経の働きが上手くいかないため、膀胱の収縮・弛緩のバランスが崩れることにより、頻尿症状が発症すると考えられている。女性の頻尿は、膀胱炎、神経性頻尿、神経因性膀胱のいずれかが原因となる場合が多い(頻尿は特に女性に多く、男性の5~6倍)。現代医学では、下部尿路炎症性疾患による頻尿の場合、原因菌に有効な抗生剤・抗菌薬を用いるが、それでもなかなか改善されない頻尿も多い。

最近の研究では、細菌感染が認められない頻尿に、膀胱痛症候群や間質性膀胱炎があるが、これといった特効薬はなく治療はさらに困難になる場合が多い。

中国医学では、個々人の体質、頻尿の背景にある原因を探り、鍼灸や漢方薬治療で原因を取り除く治療をし、免疫力や抵抗力などが低下することで反復的に細菌感染しないように免疫力を向上させる。そうすることで自律神経のアンバランスを調整し、頻尿・尿漏れ・多尿を改善することができる。

さらに、鍼灸治療では、頻尿症状のみならず下腹部の不快感や痛みなどを同時に改善させる。このように現代医学の治療に行き詰まった頻尿に対して鍼灸治療が効果を発揮するケースは非常に多い。

投稿者:tcm-editor

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