no image

2009年7月号 顎関節症の鍼灸治療

口を開けようとすると痛い、あごを動かすときに音がする、あまり大きく口が開かない、急にかみ合わせが変化した、あごが閉じないというような症状がある場合、顎関節症の可能性が高い。随伴症状として、頭痛、首や肩の痛みと凝り、耳の症状(耳の痛み、耳鳴り、耳が詰まった感じ、難聴、めまい)、舌の痛み、味覚の異常、目の疲れ、口の乾燥感等が起こる場合もある。顎関節症は、そんなに珍しい病気ではない。軽度のものも含めると顎関節症の患者はかなり多数。特に20代の女性に多く見られる。歯科治療で、噛み合わせが狂ったことが原因の「医原性顎関節症」もよく見られる。

つらい伊丹,筋緊張などは鍼灸治療で緩和可能顎関節症は、噛み合わせの異常が主な原因と以前までは言われてきた。現在は、顎関節症の原因は1つではなく、複数の要因が積み重なり、関節の耐久限界を超えたときに発症する、と言われるようになった。さらに最近の研究結果では、精神的ストレスが顎関節症の原因になっていると報告されている。人間関係などの精神的なストレスによって食物をかむときに使う筋肉(咀嚼筋)の緊張が高まり、かみ合わせの異常や歯ぎしりが重なることで、咀嚼筋の痛みや顎関節の障害を引き起こす。

ストレスがあると、顎関節症に限らず、あらゆる痛みを伴う病気に対する感受性が高まり、痛みに耐えられる許容性(程度)が低下する。その結果、痛みを強く感じてしまう。

現代医学では、鎮痛剤や痛み止めの注射、スプリント療法、超音波治療、低周波治療、関節可動化訓練などで治療しているにもかかわらず慢性化し、痛みが改善されない場合も多い。中国医学では、まず身体全体を診て、病因を判断し治療法を決める。ストレスを取り除き、交感神経の緊張をゆるめ、全身の血液の流れを改善する。さらに顎関節周りの経穴(ツボ)である、聴宮、聴会、耳門、下関、上関、頬車、合谷、翳風に鍼治療を直接行うことで、顎関節や咀嚼筋の炎症を抑え、関節周りの筋腱の緊張を緩和できる。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る