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2010年4月号 子宮内膜症の鍼灸治療

子宮内膜症子宮内膜症とは、子宮内膜やそれに似た組織が、本来あるべき部位(子宮の内側)以外の部位に発生し、増殖する疾患。良性の疾患ではあるが、転移や浸潤するなど悪性腫瘍のような性質も併せ持っている。エストロゲン(女性ホルモン)に依存して発育し、経周期に合わせて増殖や剥離を繰り返し、病状が進むと激しい月経痛がおこる。また不妊との関係も指摘されている。最近、子宮内膜症が増えてきた理由として、晩婚化・少子化・初経年齢の若年化などにより1人の女性の経験する月経回数が増加していることも一因と考えられている。

子宮内膜症の症状は激しい月経痛で,進行するにつれ痛みが激しくなる特徴がある。月経痛以外には、月経困難症、過多月経、不正出血、性交痛、排卵期の腹痛、腰痛などもおこる。さらに不妊症の原因にもなる。

子宮内膜症の西洋医学的な治療では、大きく分けて2種類となる。薬物療法、手術療法である。

薬物療法は、根治療法ではないが、病変の退縮を目的とするホルモン療法で、一時的に月経を止め、妊娠時や閉経時と同様のホルモン状態にする。

手術療法は、開腹手術、腹腔鏡手術により、病巣を取り除く。

中国医学では、「血」は身体中に栄養や酸素を運び、老廃物を排泄する大切な役割を担っている。冷え性や、ストレスなどの原因で子宮内の血流が悪くなると「於血」が発生し、月経血の流れを阻害し、月経痛を引き起こす。子宮内膜症も「於血」が主な原因と考えられているので、鍼灸治療や漢方薬治療で、子宮の血流を改善し、「於血」を取り除き、痛みなどの症状を緩和させる。

最近の研究では、子宮穴、中極穴、関元穴という経穴(ツボ)に鍼灸治療を行うことで、子宮内膜症の卵巣からホルモン分泌を抑制する効果があることが分かっている。妊娠を計画しているような患者の場合、ホルモン剤などで月経を止めることが難しいので、中国の婦人科では、鍼灸治療や漢方薬治療が良く採用される。

※「於血」(おけつ)やまいだれの中に於

投稿者:tcm-editor

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