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2010年9月号 冷房病と痛み

冷房病冷厳しい暑さがつづき、不快指数も90%を超え、エアコンの効いた部屋に閉じこもりがちの人が多いでしょう。その結果、冷房による「冷えすぎ」から起こる肩こりや関節痛、感冒、胃痛、倦怠無力感など様々な症状で来院される患者さんが増えています。

中医学では、病気の診断(病因を探る)や、治療(鍼灸、漢方薬の処方)を行うとき、必ず自然界の気候や季節を考慮して診ます。高温多湿の季節や環境のもとで多発するものを「暑病」といいます。夏季は、暑熱、湿度が原因で起こる病気が多いので解熱・除湿(熱邪・湿邪を取り除く)の治療を行います。しかし、冷房を多用する今日では、夏季でも冬季の疾患が、重複して出現するのです。

暑い夏には有り難い冷房も、使いすぎると様々な病気の原因となってしまいます。
冷房によって寒邪が体表に侵入し、冬季のように冷えが原因で起こる病気までが加わり、夏でも、温裏(暖める)の治療も必要になるケースが多いのです。
例えば冷房で身体を冷やしすぎ、寝違い(頸椎症状)、ギックリ腰(急性腰痛)などの痛み症状が突然現れ、痛み止めの薬を服用すると、今度は胃腸に影響し、下痢、腹痛を起こしてしまう。それは、夏の暑さで胃腸が弱っていたので、胃腸の調子まで悪くしてしまったということです。さらに、不調だから外出せずに冷房の入った部屋で休むとなると、痛み症状をさらに悪化させてしまいます。
このような、体調不良の悪循環に至らぬように、鍼灸治療では、痛みの根元である、寒・熱・湿の身体バランスを回復させるための治療をしています。 夏の暑さや、冷房に負けない身体づくりのための根源的な治療をめざしているのが鍼灸治療なのです。

投稿者:tcm-editor

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