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2011年1月号 「寝違い」の鍼灸治療

寝違い「寝違い」とは、睡眠時に起きた頸椎捻挫のことです。中国医学では「寝違い」は「落枕」と言い、「枕から落ちる」といいます。前日まで何も痛みがなかったのに、朝起きると首や肩甲骨周囲に痛みを覚え、首の動きが制限され、少しでも動かすと強い痛みが起こる状態です。原因は、肩こりや、首周りの疲れの場合が多いのですが、ひどい寝違いでは、頸椎椎間板の線維に亀裂が入り、その内部の髄核が飛び出して神経を圧迫し、手が痺れる等の神経症状が現れる頸椎椎間板ヘルニアになる場合もあります。一般的に治療では、急性の軽い症状であれば、病院のシップ剤や消炎鎮痛剤などの治療で軽減します。しかし、重い症状の場合、なかなか症状が軽減しなかったり、あと少しの違和感が取れなかったり、短い期間に反復的に何度も「寝違い」を起こしてしまったりと慢性化してしまう場合も多いです。このような場合は、対処療法的な鎮痛治療のみでなく、根源的に首や肩周りの筋肉の状態を改善する治療が必要です。鍼灸治療で根本原因である日常生活の中でたまる筋疲労、仕事のストレスから来る筋緊張等を取り除くことが根治や予防のために大切です。

「寝違いのツボ」

  1. 大椎(だいつい) 第7頚椎(くびの付根のでっぱり)の下。寝違い治療の主要穴。
  2. 風池(ふうち) こめかみの後ろ。髪の生え際にくぼみ。頚部にある筋肉を緩めるツボで、寝違いの痛みを軽減。
  3. 肩井(けんせい) 肩の根元から肩先までの中間点。寝違いによる肩の張りと筋肉痛を解消。
  4. 落沈(らくちん) 手の甲、第2、第3中手骨小頭の後の凹み。寝違い治療に非常に効果のあるツボ。
    *中国では古来より寝違いを落枕(らくちん)という。

投稿者:tcm-editor

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