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2011年4月号 不妊鍼灸治療・臨床例①

めまい、ふらつき 「第二子不妊を克服、三十六才女性」

2004年に第一子を帝王切開術(逆子)で出産。06年、第2子を計画するも、なかなか妊娠に至らず。09年六月に婦人科を受診、「早期閉経の疑い・卵巣機能低下」と診断される。 同年十月に当院を受診。当院で、婦人科での不妊治療を始める前に、中国医学のみによる体質改善のための鍼灸治療を約4ヶ月間、続けられた。2010年三月から、さらに、鍼灸治療と併用して先端医療による不妊治療も行い、排卵誘発剤、人工授精、ホルモン剤による治療も始められた。見事に1回目の人工授精治療で妊娠に至る。その後は、2週間に1回、妊婦の体調管理のための鍼灸治療を継続し、順調な経過をたどられて、無事に第二子を出産される。

今回の不妊症の方は、

  • 全身の冷えが強く、特に手足と腹部が冷たい
  • 夏の冷房でよく体調を崩す
  • 体型は痩せ型で、下痢しやすい
  • 以前に貧血と診断されたこともある
  • 第一子を出産後は、月経周期は不順になり、月経期間は短く、月経血量も減少

これらを中国医学的な角度から、分析・診断すると「脾腎陽虚タイプ」であった。 簡単に説明すると、虚弱体質で特に腹部に冷えがある状態をいう。冷えによって身体全体、特に今回の場合は下腹部の血流が悪くなっているために、子宮や卵巣が冷えてしまい、月経痛、月経不順、排卵障害や着床障害を起こしやすい状態になっていた。このような子宮や卵巣など、妊娠に必要な生殖器官の機能が低下した状態を正常な状態に改善するための鍼灸治療は、とても有効。「冷えタイプ」の不妊症に効果のある経穴(ツボ)に温熱作用を与え、体調を調整することによって、妊娠しやすい体質へと改善させていく。中国医学の体質改善の力と西洋医学の先進的な技術力を上手く合わせることで、それぞれの治療の不足を補い合うことが大切。

投稿者:tcm-editor

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