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2012年10月号 逆子(骨盤位)の鍼灸治療

単殿位全膝位全足位逆子とは、逆に頭が上になった状態(骨盤位という)をいう。通常、お腹の中の胎児は、頭位といって頭を下にした状態である。

逆子は、単殿位(お尻が下にあり、両足を上に上げている状態)という胎位が60%と最も多く、この場合、自然分娩できることもある。その他の胎位では、複殿位(両足の膝が曲がり、お尻と足先が下にある状態)と、全膝位(両足の膝が曲がり、両膝が一番下にある膝をついたような状態)が30%あり、残りの10%が、非常に稀なケースの全足位(両足を伸ばし、立っているような状態)と横位(体が横向きになっている状態)である。

中国医学では、妊娠30週以降の逆子のことを「胎位異常」または「胎位不正」という。 中国の病院では、胎位異常の治療に、妊婦に安全で副作用のない鍼灸治療が積極的に取り入れられている。

胎位異常であっても、胎児が足を蹴飛ばして前転するような動作を繰り返せば、胎位は、自然に正常な位置へ戻ることが可能なため、胎児の胎動を増加させる事を目標とし、鍼灸治療が行われている。

治療では、胎位異常と関係の深い、「任脉」「衝脉」「腎経」「肝経」「脾経」という経絡から、それぞれの患者の状態や、体質に合わせて、経穴(ツボ)を選択し、治療することで、全身を巡る気血の不足や流れを整える。

さらに、「三陰交」と「至陰」という2つの胎位異常に非常に効果のある特効穴も合わせて鍼灸治療を行うことで胎児の胎動を増加させ、胎位を改善する。

三陰交特効穴:「三陰交」、「至陰」

・「三陰交」
「腎」「肝」「脾」の3本の経絡が交差する「三陰交」という経穴(ツボ)は、子宮を巡る気血循環を改善し、子宮の緊張を弛める作用がある。 (※日本では昔から安産のお灸としても知られている。)
・「至陰」
足の小指末端にある「至陰」という経穴(ツボ)は、「腎」と関わりが深く、また陰と陽の境界にあるという経穴(ツボ)の特性から、胎位異常で、上下逆転した胎児の頭を正常な位置に矯正する作用がある。

投稿者:tcm-editor

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