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2012年5月号 視神経萎縮と鍼灸治療

視神経萎縮
視神経萎縮は様々な原因で視神経に傷害が起こり、その後の病変として起こってしまう病気です。その原因となるものとして視神経炎、循環傷害(虚血性視神経症)、外傷、薬物(メチルアルコール、農薬など)、先天性、遺伝性などがあります。症状は、視力の低下、色覚の異常、また視野が狭くなったりします。

西洋医学の治療では、視神経炎が認められれば、炎症をおさえるために副腎皮質ステロイド剤を用いたり、視神経の栄養のためにビタミンB12を用いることがあります。また、循環障害では循環を改善させるような薬物や高気圧酸素療法が用いられることがあります。 しかし、すでに視神経萎縮に陥ってしまった場合や、遺伝性のものや先天性のものではそれに対する治療法はあまり無いのが現状です。

鍼灸治療では、視神経萎縮の血液循環障害を改善することで機能を高め、視中枢や視神経細胞を修復させます。 難治性視神経症は、完治させることは難しいものの、鍼灸治療で視力を改善し、進行 を遅らせることは可能です。西洋医学との組み合わせにより相乗効果があることも、最近の研究で認められています。治療では、まず中国(東洋)医学に基づいて診察を行い、体質や原因にあわせて、手足にある経穴(ツボ)に鍼灸治療し、さらに視神経萎縮に効果のある眼鍼療法(眼の周囲の経穴に鍼を打つ)を中心に治療を行います。

近年、視神経萎縮の治療は、西洋医学以外にも新しい治療法を求める動きが世界中に広がり、欧米、中国などの国では、鍼灸治療の視神経萎縮に対する有効性が再認識され、一般眼科治療と合わせて鍼灸治療が行われています。

投稿者:tcm-editor

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