「西洋医学は、病気を診て、中国医学は病人を診る」という中国の師の言葉は奥が深いと、つくづく思います。
「病人」は、「病」と「人」に分けられます。西洋医学は、主に「病」を診るのが中心です。最先端の科学技術を利用して「病」の病態を詳しく調べ、診断、治療を行います。しかし西洋医学では、「病」を持っている個々の「人」の側面が無視されがちになっているのも事実です。
一方、中国医学は「病」を持っている個々の「人」の側面、すなわち「病」を持った人の体質・生活様式・生活環境などを重視しながら「病」の本質を診ていきます。
西洋医学と中国医学の、どちらが優れているのかという問題では、ありません。どちらも優れた医学です。

どちらの医学でも治せる病気もあれば、西洋医学にしか治せない病気もあり、また中国医学にしか治せない病気もあるのです。適材適所に使い分けて、医療を行うことが大切です。
さらに、現在注目されているのは、「統合医療（Integrative Medicine）」です。それぞれの医療の良い部分を積極的に取り入れて、西洋医学と中国医学を併用することです。つまり、治療効果の相乗効果が期待できるのが統合医療なのです。