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2013年2月号 慢性閉塞性肺疾患(COPD)による”息切れ”に鍼治療が有効

慢性閉塞性肺疾患(COPD)2012年5月、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に鍼灸治療が有効であるという新聞報道があった。

「世界で初めて、京都大学、明治国際医療大学など複数の研究機関の共同研究によってCOPDの労作時の息切れについて鍼灸治療が有効である」という研究結果が、実証され、世界の医学系臨床10大雑誌の一つと言われるArchives of Internal Medicineに掲載され
たと紹介されている。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、日本では530万人以上が罹患していると推計される。世界保健機構(WHO)の報告では2020年には死亡原因の第3位と推定されている。
COPD患者の多くは喫煙が原因となり40歳以上で発症する。病状は、進行性で悪化していく。初めは階段を上るなどの運動時の息切れや慢性の咳、痰が続くが、進行すると入浴、排泄、食事などの軽作業でも息切れが起こり、ひどい場合には臥床を余儀なくされる場合があり、患者のQOL(生活の質)を低下させていく。従って、COPDのガイドラインにも息切れを管理することが重要であると報告されている。

研究チームは、慢性閉塞性肺疾患によって薬物治療中の患者68人を無作為に2群に分けて、一方には鍼治療を12週間続け、一方は鍼を打つ格好だけのプラセボ群とした。鍼治療では「中府」や「関元」などの11の経穴(ツボ)を用い、6分間歩行試験によって歩行距離や息切れの度合いを評価し、動脈血酸素飽和度なども測定した。その結果、鍼治療群では、有意な、これらの改善効果が認められた。また体格指数(BMI:ボディー・マス・インデックス)や血中の栄養タンパクの測定においても改善がみられたという。

中国医学(東洋医学)と現代医学を、統合医療として、上手く併用することで、多くの難治性疾患に対しても、患者の苦痛を軽減できるケースは非常に多い。

投稿者:tcm-editor

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