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2013年3月号 世界の注目を浴びる鍼灸治療

鍼(はり)と艾(もぐさ)だけで、高価な医療機器がなくても、何処でも、いつでも、人々の健康を守り、治療効果を上げることのできる安価な医療技術として『鍼灸治療』が、今や世界で、注目を浴びているのです。生活習慣病、慢性疾患の治療、さらには、病気の予防効果も高く、懸念されている膨大な国民医療費を圧縮・削減し、経済効果も期待できるからです。そうした意味からも『未来医学』として世界各国が注目しているのです。

3億ドルを越える国家予算を研究機関に配り、代替医療の研究を進めているアメリカでは、最も多くの予算が、鍼灸治療の研究につぎ込まれているといわれています。副作用の心配のない、しかも安価な治療法として鍼灸治療は、米国では大きく期待され、注目されているのです。

鍼灸治療は、現在、世界100カ国以上で臨床に取り入れられ、地球上で最も普及している代替医療の1つです。貧しい国の、とりわけ貧しい人々に期待されている治療法です。鍼だけを持って発展途上国の貧しい人々の治療に貢献した日本人鍼灸師が20年近く前に居たことを知ったのが、私の、中国医学(鍼灸)を学びたいと思った動機でした。

中国や韓国では代替医療という位置づけではなく、正式に医療として定着しています。中国や、韓国では、日本でいう鍼灸師は、中医師、韓医師と呼ばれ、西洋医学の医師と同じ医師免許を与えられています。(厳密には日本のように鍼灸治療のみを学ぶのではなく、漢方薬も学ぶ)もちろん治療費には、保険が適用され、鍼灸治療のために入院することも可能です。

ところが日本では、明治期の政策の誤りから、医療制度に鍼灸治療が正当に組み込まれなかったのです。西洋文明に対する、当時の日本人の偏見、劣等感のようなものに起因するのでしょうか。今日の医療制度の中でも、健康保険制度も利用できない残念な状態が続き、貧しい人々や高齢者を苦しめています。

しかし、そのような中でも、日本では、人々の鍼灸治療へのニーズは絶えることなく、今日に至りました。鍼灸治療効果の認識も期待も、非常に高いのです。当院へ来られる患者さんの治癒されたときの笑顔に、私は、日々、励まされています。

私は、西洋医学と並ぶ「もう1つの医学」として、鍼灸治療が、日本の医療制度に組み込まれ、2つの医療の良い部分を合わせた、統合医療が実現されることを切に願っています。 鍼灸治療は、現代医学とは違う角度から診る「もう1つの医学」なのです。

投稿者:tcm-editor

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