no image

2013年4月号 アメリカの鍼灸事情

アメリカの鍼灸事情アメリカでは、補完代替医療の利用者が増えてきており、特に副作用のない自然治癒力をも引き出すことの出来る鍼灸治療に対する関心が非常に高くなっています。

2007年のThe National Institute of Health (NIH) とNational Center for Complementary
and Alternative Medicineの共同調査によると、アメリカの50歳以上の人々の3分の2が何らかの補完代替医療を利用しています。 そんな社会的な需要の中で、最近ではアメリカの大学医学部でも補完代替医療、特に鍼灸治療を必須のカリキュラムに加えていこうという動きがあります。それも、今までのように鍼灸治療で西洋医学治療による副作用を和らげるためだけでなく、積極的に治癒能力、治療効果を上げていくために必要だと考えられているのです。

さらに、日本のように国民健康保険制度が確立していないアメリカでは、各個人で各社の医療保険に加入しますが、多くの保険会社は、医療費軽減を期待して、鍼灸治療を積極的に保険診療の対象として加えています。

〈アメリカの鍼灸教育〉

アメリカでは、鍼灸学校により異なりますが入学資格は、大学卒で、4年制の鍼灸学校が多いです。

アメリカでの鍼灸教育は中国の『中医学』が基本で、鍼灸治療と漢方薬の両方を教えます。また、中国の中医薬大学のアメリカ校や提携校も多くあり、中国の中医薬大学の付属病院で臨床研修を行えるようになっています。

アメリカでは、日本とは違って、連邦政府による全国統一された鍼灸治療医の資格はありません。州ごとに医療制度・保険制度・免許制度が異なるため、『受験資格の条件』『試験科目』『認定資格』などは州により異なります。鍼灸学校を卒業する際に、各州独自の検定資格試験を受け、パスすると鍼灸医の資格が取得できるのです。中国の中医師と同様『鍼灸治療と漢方薬が一体』になった資格です。

20年以上ニューヨークの鍼灸学校の校長をし、臨床にも携わってきたMark Seem氏は、次のように語っています。
「中国の医療現場で行われているように、Informed Touch、すなわち“患者の心身のおかれている背景、状態、日常生活、または痛み、辛さを肌で感じること”こそが本当の医療であり、中医学の他にこれほど体系化されていて、包括的で効果を上げられる医療はない。」と。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る