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2014年6月号 歯周病の中医学

歯周病

歯周病とは、プラーク(歯垢)の中の歯周病菌が歯茎に炎症を起こし、徐々に周りの組織を破壊していく細菌感染症です。症状が進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし、やがて歯が抜けてしまう原因になります。歯科医で行われる治療や、自身の歯磨きなどの口腔衛生管理でも改善されない、しつこい慢性的な歯周病もあります。

中医学での歯周病治療は、歯周病の発生原因として、口腔内だけではなく、身体全体の状態、免疫力低下などを原因と診て、治療法を分析します。
大きく3つの原因タイプに分け、治療法を決めていきます。

1.胃腸積熱タイプ(炎症傾向の強いタイプ)

飲食の不規則、辛いもの・甘い物・油っこいものの過食やお酒の飲みすぎなどによって生じた胃腸の熱が、火に変化し上昇すると、歯肉の発赤や腫脹、歯痛、歯出血などの症状が現れ、歯周炎の急性発作を起こす。

※治療に用いる漢方薬:清胃散、黄連解毒湯、三黄瀉心湯など

2.腎虚タイプ(老化型歯周病タイプ)

老化が原因の腎元不足による歯槽骨の脆弱化。腎は精を蔵し、髄を生じ、骨(歯)を養い、骨髄はまた歯を養うとされています。老化や慢性疾患などによって腎精を消耗し、歯槽骨に充分な栄養を与えられず、歯槽、歯骨の萎縮、歯根暴露、歯の動揺か脱落などの症状が起る。

※治療に用いる漢方薬:六味地黄丸、八味地黄丸、済生腎気丸など

3.気血不足タイプ(歯肉の炎症の少ないタイプ)

気血不足による歯肉の栄養障害。
中医学でいう脾臓は、胃腸の動きを助け、消化や養分を運搬する働きがあるとされています。さらに、口腔と非常に密接であるため、脾胃虚弱になると、口内に充分な栄養を与えられなくなり、歯肉の栄養障害を起こす。

※治療に用いる漢方薬:補中益気湯、八珍湯、人参養栄湯など


投稿者:tcm-editor

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