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2016年1月号 モートン病の鍼灸治療

外反母趾でもないのに、歩いていると足の裏が痛み、指の付け根辺りがしびれたりしている場合、それは「モートン病」の可能性があります。

モートン病とは、典型的に中年女性に多い病気で、足底のアーチ構造が崩れて起こる神経障害です。個人差はありますが、足裏の第3~4足指間か第2~3足指間に、痛み、しびれ、灼熱感などの様な神経症状が出ます。

西洋医学では、薬剤の内服、ステロイド注射、ブロック注射、足底挿板、運動療法などを用いた保存的治療をします。3ヵ月ほど様子を見ても症状が回復しないものでは、神経剥離、神経腫摘出、深横中足靱帯の切離等の手術が必要になることもあります。

モートン病や、関節、四肢などの痛みは中国医学の「痺証(ひしょう)」に属しています。「痺証」の病因は、中国医学では、外邪(風邪、寒邪、湿邪)の関節や四肢などへの侵襲や、内面的な原因として肝腎虚弱体質による関節滑液包などの潤い不足によると考えます。

※肝腎虚弱証は、更年期の女性に多く見られる証であることから、モートン病が中年女性に多く起る症状であることもぴったりと当てはまる。

鍼灸でのモートン病治療の目的の第一は、患部の熱感、痛み、腫れ、炎症を抑えることです。鍼灸治療の得意とする鎮痛作用を活かして、痛みをとり、炎症を鎮め、さらに患部の血液や体液の循環を改善させむくみや腫れを軽減するのです。慢性の場合は温灸を積極的に使って温めることも効果的です。鍼灸治療で使う経穴(ツボ)は、阿是穴(足底部に圧痛点のあるところ)を中心に、湧泉、然谷、太白、太谿、水泉、などを選びます。鍼治療のみでなく、推拿(指圧・マッサージ)やお灸を併用するとより高い治癒効果が得られます。


投稿者:tcm-editor

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