no image

2017年2月号 「寒さは風邪(かぜ)のもと、体を温めましょう」

現代医学でいう風邪(かぜ)とは、ウイルスが上気道(鼻や咽)に感染することで起こる急性炎症の総称です。 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咽の痛み、咳、痰、食欲不振など症状は様々です。

大部分が、風邪ウイルス群の感染により起こります。風邪症候群の代表的な疾患には、鼻風邪(普通感冒)、インフルエンザ(流行性感冒)、プール熱(咽頭結膜炎)などがあります。風邪という漢字を音読みする と「ふうじゃ」と読めます。

風邪とは、そもそも中国医学用語なのです。中国医学では、風邪(かぜ)の主な原因は、 「風邪(ふうじゃ)という邪気が体に入るため」と考えます。 病気の原因には外因(外から体に入る邪気)と内因(体質や精神的な要因)の2つがあり、 風邪(ふうじゃ)は、病気の外因となる6つの邪気「風・寒・暑・湿・燥・火(熱)」の中の1つです。家の隙間風のように身体に侵入しやすいのが特徴です。さらに風邪(ふうじゃ)は、他の邪気と結びつきやすく、特に寒い冬の季節に寒邪(寒さの邪気)と結びつき風寒邪(ふうかんじゃ)となって体の上部にある、口や鼻などの呼吸器や皮膚から侵入し、寒気、発熱、咽の痛み、鼻水、せき、頭痛といった症状を引き起こします。

これが、日本で一般化して「発熱、悪寒、鼻水、咳、咽の痛み、頭痛、全身の倦怠感」などの症状を引き起こす病気をまとめて『風邪(かぜ)』と 呼ぶようになったのです。

●葛根湯は、風邪の引き始めに効く● 

「葛根湯」は、中国の古典医学書「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている漢方薬です。風邪(かぜ)の引き始めは、身体がゾクゾクして、寒気(さむけ)がとれず気持ちの悪い状態がつづきます。同時に頭痛がして、肩や首すじがこってきて頭が重苦しく、関節(ふしぶし)も痛みます。このような風邪(かぜ)の引き始めの症状に葛根湯は、大変よく効きます。葛根湯は身体を温める生薬が多く含まれ、発汗作用があり、汗とともに風寒邪(ふうかんじゃ)を追い出してくれるのです。

しかしながら日本では多くの場合、家庭の常備薬として「葛根湯」を持っておられ、咽の腫れや痛み、高熱などの中国医学で考えられる風熱(ふうねつ)の症状がある風邪(かぜ)の状態でさえ安心して服用されています。これは熱症状のある状態に、さらに温める作用の強い「葛根湯」を服用することになり、逆効果で危険です。お店の薬剤師さんも、あまり漢方薬は詳しくないのかもしれませんが、「葛根湯」は、あくまで風邪(かぜ)の引き始めに効く薬だということです。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る