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2017年3月号 中国の不妊治療③

中国政府が2015年10月末に、1979年から続けてきた一人っ子政策を完全に廃止すると発表した。

政府は一人っ子政策廃止の理由に、「人口の高齢化に対応するため」を挙げているが、それ以外にも、「この先数十年後の労働人口の不足」にあるといわれている。

当初から、政策上は解禁されたが、若い夫婦が2人目を産みたいかどうかは別の問題だと指摘されていた。実際には30代~40代前半の夫婦、特に第一子が男の子でなかった夫婦が、体外受精などの不妊治療を受けているケースが急増している。

中国では体外受精や顕微授精などで不妊治療を行うことは厳しく管理されている。出産許可証や結婚証明書の提示が求められる。さらに子どもの性別選択(もちろん日本でも禁止されている)や、一部の先端技術での不妊治療も禁止されている。そのため、経済力のある夫婦のなかには米国や豪州、タイなど海外での最先端の生殖医療機関を利用する人が増加の一途をたどる。

 また、中国では、総合病院には、西洋医学と中国医学の両方の婦人科があるため、中国医学の婦人科で先ず、漢方薬や鍼治療での不妊治療を始める夫婦が非常に多い。(同時に西洋医学の婦人科でも、エコー検査や、血液検査等を受け器質的な病変がないかも調べて治療を進めるので、完全に中国医学のみというわけでもない)

 また一定期間、中国医学治療を経ても妊娠に至らず、その中でも経済的にも余裕がある夫婦は、ホルモン補充療法、人工授精、体外受精、顕微授精などの先端不妊治療も中国医学と併用して段階的に進めている。

中国医学における漢方薬や鍼治療を受けただけで、妊娠に至る中国人夫婦も非常に多いことから、逆に中国以外の諸外国では中国医学の不妊治療の併用が大きく注目されている。日本における不妊治療も中西(中国医学と西洋医学)統合医療が、薦められ始めているが、まだまだ少ない。

投稿者:tcm-editor

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