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2017年6月号 「「心筋梗塞」と中国医学」

心筋梗塞は血管がつまることで起こる心疾患のひとつで、比較的古くから知られている病気です。(※心臓発作、心臓麻痺、英語では、ハート・アタックと呼ばれる)
心筋梗塞が起こる原因は、心臓に栄養を送っている血管(冠動脈)がつまること。
これにより、酸素や栄養が心臓に行きわたらなくなり心臓の筋肉が壊死(えし)してしまう病気です。

心筋梗塞の症状で特徴的なのが突然に発症する強烈な胸の痛みです。その痛みは
非常に激しく、強い息苦しさを感じ、呼吸困難に陥って、その場に倒れこんでしまう人も少なくありません。

心筋梗塞を予防するためには、肥満、糖尿病、脂質異常症(コレステロールの異常)、高血圧等の生活習慣病を改善する必要があります。胸痛や動悸などの予兆や、動脈硬化のある場合は、血管拡張薬、ベータ遮断薬やアスピリン等を使用しますが、副作用などの不安も大きいです。

中国医学では、古代よりこれを「真心痛」とよび、「朝発夕死、夕発旦死(朝に発作が起これば夕方には死に、夕方起これば翌朝には死ぬ)」といって死に直結する病として非常に恐れられてきました。

とはいえ手をこまねいてきたわけではなく、真心痛に対しては数多く漢方処方が考えられてきましたが、やはり最も大切なのは真心痛を起こさないための予防に努めてきたことです。

血液を構成する血漿(けっしょう)の、91%は水分です。血漿を川に例えると、赤血球、白血球、血小板などの血球は、水に浮かぶ舟のようなものです。川に水が少なければ、 舟は浅瀬に乗り上げて動けなくなるように、水分が不足すると血漿も減少し、血液は濃縮されて粘度が高くなります。その結果、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患をひき起こすことになるのです。
そこで中国医学の真心痛に対する漢方薬治療では、体の津液(※中国医学では、血漿や組織液など、栄養のある体液を津液(しんえき)という)を補い、心の気を補う処方として有名な「生脈散」を用います。漢方薬「生脈散」には、津液を増やすと同時に、心筋に栄養を与え、心筋の収縮力を強める作用があります。血漿がふえると、“増水行舟”の原理で血の流れがよくなるため、心筋梗塞·脳梗塞を予防できるのです。
同時に、鍼灸治療を併用して生体機能調整作用で心臓の冠状動脈を拡張させ、さらに、血行促進作用で血流を改善させるのです。

投稿者:tcm-editor

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