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2019年5月号 うつ病と鍼治療②

 
『イギリスの研究でも支持された“うつ病”への鍼治療の効果』 
 
2017.02.07 Mad in America(MIAニュースレター)というアメリカの精神保健を再考するフォーラムのサイトで記事が紹介された。 要約すると…現在、鍼治療は世界中で広く用いられている。最近では、うつ病の非薬理的な治療の1つにも加えられ、効果の希望が持てる療法として期待されている。研究では、755人のうつ病の患者に対する鍼治療のランダム化比較試験(RCT)も行った。鍼治療を受けた患者は、標準的な治療のみを受けた患者に比べて、うつ症状が大きく改善したことがわかった。そのため、抗うつ剤などの薬とカウンセリング、さらに鍼治療を、うつ病治療に取り入れていくための議論を1歩前に進める結果になった。 
 
中国医学では、「およそ病は、鬱(うつ)によりて起こること多し」と考える。日本でも「病は、気から」といわれる。精神的な要因で起こる疾患は非常に多い。中国医学で考える病気の原因の中で、七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)は、重要な発病原因とされている。 
中国医学の「鬱(うつ)証」は西洋医学の「鬱(うつ)病」に比べて範囲が広く、自律神経失調症、心身症、神経症、更年期障害、不眠症、痴呆症など多くの病症を包括している。 中国医学のうつ病治療では、主に2つのタイプに分け治療する。 
 
『肝鬱気滞タイプ』のうつ病 
ストレスによって全身を流れる気が渋滞し、憂鬱になり気分が落ち込む。 胸部の圧迫感、便秘、腹痛、肩こり、不眠、のぼせや多汗などの症状、さらには人に会いたくない等の症状もでる。 
 
『悩鬱傷神タイプ』のうつ病 
思い悩みすぎることにより気滞、気虚状態におちいり、元気を失ってしまう。内臓器官の働きも低下して、食欲がなくなり、疲れやすい、顔色はつやがない。 また、体力の低下、精神不安定、悲観的、泣くなどの症状も現れる。  以前当院に通われていた患者さんは、うつ症状から会社に行けず、病院で抗うつ剤等を処方してもらったが、なかなか改善せずということで、奥さんに連れられて来院。数ヶ月の治療で回復。会社に復帰されている。うつ病治療は、鍼治療が得意とする分野でもある。 

投稿者:tcm-editor

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