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2019年10月号『片頭痛の鍼灸治療』

日本人の850万人が罹患しているとされる片頭痛。片頭痛とは、頭の片側が痛む症状です。実際には、両側や頚(首の後ろ)や目の奥が痛くなったり顔面が痛くなったりする場合もあります。

片頭痛は「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」などに細分類されています。また、片頭痛は女性に多いのも特徴です。

前兆は、キラキラした光などの視覚性前兆が最も多く、通常は1時間以内、引き続いて頭痛が始まります。片頭痛発作は通常4~72時間続き、片側の頭部がズキンズキンと痛む(拍動性頭痛)のが特徴です。

頭痛の程度は中等度~高度で日常生活に支障をきたし寝込んでしまうほどで、日常的な運動により頭痛が酷くなることも特徴です。悪心(吐き気)、嘔吐を伴うことが多く、頭痛発作中は感覚過敏となって、普段は気にならないような光、音、においを不快に感じるケースも多くあります。

西洋医学の治療では、スマトリプタン・アスピリン・アセトアミノフェン等の内服薬が用いられます。しかし、頭痛薬を使用しすぎると頭痛が悪化したり、慢性化したりすることがあり深刻です。

中国医学では、片頭痛を『偏頭風』と呼び、原因は、風邪・寒邪・熱邪・湿邪・気虚・血虚・腎虚・瘀血などがあると考えます。

血が片頭痛に関係している場合が多く、頭部血脈の血の滞り(血行不良)を起こし痛みを引き起こすと考えられています。一般的には血行不良は血管が収縮して狭くなったときに起こりますが、逆に瘀血が阻滞し流れが悪くなった血液が停滞し血管が拡張した場合にも起こります。

療では、頭部周囲の経穴(ツボ)への直接的な刺鍼で血流を改善します。また漢方薬を併用して治療に当たることもあります。片頭痛に、漢方薬では川芎(せんきゅう)という生薬をよく使用します。

血管運動に対して弛緩と収縮の両方向に作用する働きがあるので脳の血流を増やしたいときにも異常に拡張した血管を収縮させるときにも用いることができます。

中国医学の治療では鎮痛の効果だけではなく、全身のバランスを調整し、根本原因を取り除き、片頭痛を完治すさせることを大切にしています。激しい片頭痛に対して、西洋薬を単独で用いるより鍼灸・漢方薬を併用することで両方の優れた点を合わせ、さらに高い治療効果が得られるのです。

投稿者:tcm-editor

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