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2019年12月『味覚障害と中国医学』

味覚障害の症状は、「何を食べても味がわからない」「味が薄く感じられる」などですが、口の中に何もないのに苦味や塩味、酸味を感じる、という場合もあります。味覚障害は、知らず知らずのうちに症状が進行し、気がついた時には、かなり重症になっていることも少なくありません。

    ―味覚障害の原因―
  • 1,インスタント食品など偏った食生活から、亜鉛が不足すると、味蕾の新陳代謝が十分に行われず味覚障害が生じる。
  • 2,ストレスを受け続けると口内が乾燥し舌苔が厚くなり、色が白・黄・茶色に変わるなどで違和感や味覚障害を生じる。
  • 3,唾液は、食物から味の元となる成分を溶かす働きがあるので、高齢による唾液分泌不足や、シェーグレン症候群で唾液が少なくなると乾燥して味覚感受性が落ちる。
  • 4,降圧薬、鎮痛・解熱薬、抗アレルギー薬や消化性潰瘍治療薬等が、時に味覚障害の原因となる。また、がんで化学療法中の患者3~5割にも起こる。

西洋医学では、血液検査で亜鉛不足となれば、亜鉛をサプリや食物から補充し、原因となる病気がある場合は、その病気の治療をしますが、その他のケースでは、治療方法が少なく深刻です。

中国医学では、「舌は消化器」つまり消化を担う胃腸の一部ととらえており、食事の不摂生や過労・慢性疾患(薬の多服用も胃腸に負担)、ストレスにより、胃腸が不調に陥ると舌にも影響がおよぶと考えます。

例えば、胃粘膜が荒れ、胃酸の分泌バランスが崩れると口内は乾燥し、舌苔は厚くなり味覚障害を引き起こします。この場合は胃腸の治療を優先し、結果的に口内乾燥や舌苔の状態を改善、味覚障害を治癒させます。

また、シェーグレン症候群などで唾液の分泌が少ない場合は、体内の潤い成分の生成・補充バランスを整える治療をします。

心因性の場合は、抑うつ気分からイライラや過緊張を起こし、体内の気血の巡りが悪くなり、自律神経が失調して味覚神経に異常を起こしたと診て、抑うつされた精神を整え、自律神経を改善させ治療します。

このように中国医学ではそれぞれの原因に合わせ治療することで味覚障害を回復させます。

投稿者:tcm-editor

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