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2019年4月号  胸痛症候群

 
胸痛症候群とは原因不明の胸痛であり、胸痛の原因になる疾患である狭心症、心筋梗塞、解離性大動脈瘤、心膜炎、心臓神経症、逆流性食道炎、肺炎、肺塞栓症、肋間神経痛、帯状疱疹(帯状ヘルペス)、自然気胸などの症状に対して診断される胸痛のことです。 
 胸痛症候群に当たる痛みは、鋭く刺すような痛みや、チクチクする痛み、せきや息を吸うと痛むなどの症状で、神経痛や筋肉痛などの可能性があります。一方、焼け付くような感覚や圧迫感と同時に体のだるさや呼吸困難が現れる場合、裂けるような強い痛みが前胸部や背中を移動する場合は、心筋梗塞や大動脈解離などの重篤な病気である場合が考えられます。 
 若い人の胸痛は、狭心症など命にかかわるような心臓病が原因で起こることはほとんどなく、病院のMRI、CT、エコー、心電図、食道内圧検査、胃カメラなどの検査で異常がなければ、胸の外側の痛みである場合が多く、原因として考えられているのは、ストレス(心因性)などであり、胸の痛みだけでなく、胸苦しさ、胸が重い、胸の詰まり感を伴う場合もあります。 
西洋医学の治療では、鎮痛剤や精神安定剤などで治療しますが、痛みがなかなか引かない場合も多くあります。 
 
中国医学では、ストレス性の胸痛は、胸部の気・血の巡りが悪い「気血鬱滞」によって起こる症状と考え、治療では気血を巡らす鍼灸治療や漢方薬治療をします。日本でもよく目にする漢方薬の半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、気を巡らせる「理気剤(りきざい)」の一つで、鬱症状を改善させ、不安を和らげる働きがあり効果が期待できます。鍼灸治療でも鬱滞を取り除き、気血の流れをスムーズにさせる作用のある経穴(ツボ)に治療することで症状を改善します。 
 
ある病院での初診時、胸痛を訴えていた患者の診断は、狭心症8%、その他の心疾患5%、 肺・気管支疾患20%、消化器疾患10%であり、筋・骨格疾患20%、肋間神経痛 8%、心因性など17%、その他・不明11%でした。 つまり、半分以上の合計52%が、胸痛症候群に当たる胸痛であったというデータ統計です。 
 
※胸痛症候群は、海外でも注目されていて、プレコーディアル・キャッチ症候群(Precordial Catch Syndrome)とよばれています。 
 

投稿者:tcm-editor

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