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2020年7月号『シェーグレン症候群と中医学』

シェーグレン症候群(※)とは、唾液腺・涙腺や全身の外分泌腺に原因不明の慢性炎症を来す自己免疫疾患(本来、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るための免疫系が誤って自分自身を攻撃する)で、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現する病気。圧倒的に女性に多い疾患で、主な発症年齢は40~60歳代とされている。

シェーグレン症候群には2つの病型があり、病変が唾液腺(ドライマウス)、涙腺(ドライアイ)などの外分泌に限局する原発性シェーグレン症候群と、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど他の膠原病を合併する2次性シェーグレン症候群に分類される。

原因は不明で、遺伝的な要因とウイルス感染などの環境因子が複雑に関わっていると考えられている。また、女性に多い疾患である故に、女性ホルモンの関与も考えられている。

しかし、シェーグレン症候群を根治させる治療法は現在なく、ドライマウス、ドライアイの治療は、対症療法(人工涙液、人工唾液など)が中心で症状が改善され難い。

※ シェーグレン症候群:1933年スウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンによって報告された疾患。

中医学では、シェーグレン症候群の多くは陰虚証という津液(しんえき)」の不足状態と診る。「津液」とは、人体の生理的な水分のことで滋潤の働きがある。充分な「津液」が身体に満ちていれば肌、喉、眼、髪などはみずみずしい状態となり関節などもスムーズに動かせる。

漢方薬治療では、滋陰潤燥作用のある麦門冬、干地黄、玄参、葛根などの生薬で「津液」を補充し、さらに必要に応じて免疫力を強化し調整する黄耆、人参、甘草などの生薬を追加し、自己免疫疾患である膠原病を治療する。

鍼灸治療では、眼の周りの経穴(ツボ)に刺鍼し、涙腺への血流を改善させ、涙の分泌を促進させる。唾液腺の痛みや腫れに対しても、唾液腺近くへの直接的な鍼灸治療で炎症を抑え唾液の分泌を改善させる

投稿者:tcm-editor

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