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2020年8月号『自律神経失調症②』

自律神経は、心臓や血管などの循環器、胃腸などの消化器、肺などの呼吸器、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、代謝系など、全身の器官をコントロールしているため、不規則な生活やストレスなどで、自律神経のバランスが崩れると様々な症状が出る。
疲労感、めまい、ふらつき、のぼせ、冷え、頭痛、耳鳴、動悸、関節の痛み、便秘、下痢、生理不順、口や喉の不快感、頻尿、残尿感、発汗、肩こりなど様々。症状には、個人差があり、複数の症状が重なることも。
さらに精神症状では、イライラ、不安、不眠、記憶力や集中力低下、感情の起伏が激しいなど。

対処療法として自律神経調整薬や抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などが用いられるが、依存性や副作用の問題もあり長期服用は要注意。

中医学では、鍼灸や漢方薬治療で、自律神経系と関係が深い五臓の「肝(かん)」、「心(しん)」の機能を調整することにより、対症療法ではなく根本的な治療をする。

※ 中医学の「肝」の生理機能には「疏泄作用」があり、精神機能や臓腑の活動を円滑に保つ。これは自律神経系の働きに似ている。さらに“「肝」は血を蔵す”といい、血を貯蔵し循環させる臓腑でもある。「心」の機能は、心臓を含めた血液循環系(血脈)をつかさどり「神志」といって人間の意識や判断、思惟などの人間らしい精神活動をコントロールする。

自律神経失調症のタイプ

  • 心血鬱結」・・・人に会いたくない、話したくない、部屋に閉じ籠もる、仕事に行けないなど。
  • 肝気鬱結」・・・憂鬱、落ち込む、胸部の圧迫感、食欲低下、緊張性便秘、腹痛、肩こり。
  • 心脾両虚」・・・食欲がない、疲れる、気力が出ない、不安感、不眠など。
  • 心腎不交」・・・イライラ、怒りっぽい、体に熱感、のぼせ、動悸、不眠など。
 

鍼灸治療はストレス神経(交感神経)をゆるめ、リラックス神経(副交感神経)を高める効果があり、自律神経失調症の治療に有効です。

中医学(鍼灸治療・漢方薬治療)では、西洋医学とは異なる観点から診て根源的な体質改善治療をするのです。

投稿者:tcm-editor

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