no image

2021年07月号『筋挫傷(肉離れ)の鍼灸治療』

 肉離れとは、スポーツなどで筋肉に強い力がかかることが原因で発症することが多いです。筋肉の強い収縮のため、筋繊維の一部に損傷が生じ、筋肉が部分的に断裂する症状です。医学的には「筋挫傷」と呼ばれ、ふくらはぎや太ももなどの下半身の筋肉に起こることが多いです。肉離れが起こると断裂部位に痛みが起こるため歩行も難しくなります。また、断裂部位に触れるとへこみを感じることもあります。
 肉離れの主な症状は断裂部位の痛みです。断裂部位の変形(へこみ)や内出血による患部皮膚の変色がみられる場合もあります。肉離れによる腫れが酷い場合、血行が悪くなることで患部がしびれるコンパートメント症候群がみられることがあります。
 西洋医学では、まず発症直後は患部を冷やします。患部を冷やすためにシップ剤、痛みには止痛剤も処方されます。
【※RICE処置=Rest(安静)、Icing(冷やす)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)】

肉離れが起きやすいスポーツと部位

  • 1.テニスやバドミントンのジャンプ時→腓腹筋内側頭(ふくらはぎの筋肉)
  • 2.サッカーのシュート動作時→大腿直筋(太もも前面の筋肉)
  • 3.短距離走のダッシュ時→ハムストリングス(太ももの裏の筋肉

 中国医学(東洋医学)治療でも、急性期の処置は、ほぼ同様ですが、違いは、その後に起こりうる症状を予想し、未病の治療を同時に始めるという点です。肉離れの場合には、早い段階から瘀血に対する処置を行います。瘀血の「瘀」は、漢字が示すように血液が滞った状態のことです。私たちの体には、血液が循環することで、酸素や栄養を全身に運んで、身体の機能を保っています。しかし、肉離れを起こした部位や、打撲した部位には、血液が停滞し、粘度が高まり流れにくくなることが多いため、漢方薬では駆瘀血(瘀血を取り除く)作用の強い、丹参、川芎、桃仁、紅花などの生薬を用いて血液をサラサラにし、血流を改善し、血の塊(血腫)や、しこり(瘢痕)の形成を予防します。さらに鍼灸治療では、患部を中心に刺鍼し、局部的に血流を上げ、筋肉の修復を促進します。

投稿者:tcm-editor

一覧に戻る