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2022年07月号『コロナワクチン後遺症と中医学』

ごく稀ではあるもののコロナワクチン接種後に、コロナワクチン後遺症と思われる症状に悩まされている患者さんの当院受診が増えている。接種後数日以内に起こる腕の痛みや発熱とは異なり、全身の倦怠感、頭痛、胃腸障害などが何ヶ月も続き日常生活に大きな支障を来たしている。

病院では、コロナワクチン後遺症を訴える患者さんに対し、様々な検査をしても異常は認められず、症状が後遺症だと診断することが非常に難しく、困惑するケースも多いのが実情である。そのため患者さんは医療機関をたらい回しにされる事例が多く生じている。
診療では、ワクチン後遺症と思われる症状の治療を試行錯誤して行っている。例えば、「慢性疲労」等の症状例において「神経の接合部における炎症」を疑い、「栄養療法」や「点滴療養」を行い、頭痛症状には「鎮痛剤」、胃腸症状には「胃腸薬」といった対症療法で対応するが、根本的には症状が治まらず大きな問題となっている。

コロナウイルスワクチン接種後の免疫システム異常や、コロナウイルス感染症のウイルス感染後遺症では、集中力低下、記憶力低下などの「ブレインフォグ」、強い倦怠感や疲労感など慢性疲労症候群に非常に似た症状を訴えるケースが多い。慢性疲労症候群の原因は、遺伝子、免疫システム、ウイルス感染、ホルモンの不調、ストレスの影響など、様々な原因があると考えられており、まだ西洋医学では、治療法も確立されていない。

中国医学(東洋医学)は、西洋医学とは異なり患者さんの身体の証に合わせて治療する。西洋医学が原因に対し、局部的な「分解アプローチ」で治療を行うのに対して、中国医学では一人一人の体質や、心身の状態に合わせ、全体的な「統合アプローチ」で治療する。 中国医学では、以前から慢性疲労症候群に対しても漢方薬治療、鍼灸治療で高い効果を上げている。故に、後遺症による全身の倦怠感、頭痛、胃腸障害などにも統合的なアプローチで、治療ができる。
中国医学も西洋医学と同じように正式にWHOに認められた「医学」である

投稿者:tcm-editor

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